公認心理師になるには?必要なルートと試験対策の完全ガイド

公認心理師になりたいと思っている人は、心の専門家を目指したい、対人支援のため心理学を深く学んでおきたいなど様々な理由があるのではないでしょうか。公認心理師になるためには公認心理師試験を受験する必要があり、受験資格を得るためには、区分A〜Fまでの6つのルートがあります。第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)までは、区分A〜Gまでの7つのルートがありました。公認心理師になるためには、大学で心理学を勉強する必要があるのは何となく知っているけど、詳細までは分からないという人もいるのではないでしょうか。今回は、公認心理師になるための受験ルートを解説します。
公認心理師になるには?必要なルートと試験対策の完全ガイド

公認心理師になるためのルート概要

公認心理師試験を受験するまでのルートは、区分A〜Fまでの6つのルートに分かれています。少し複雑に感じる人もいるかもしれません。ただ、区分D〜Fは、平成29年9月15日より前に4年生大学で必要科目を履修もしくは履修中、平成29年9月15日より前に大学院で必要科目を履修している人などを対象にした内容になっています。そのため、これから、公認心理師を目指して大学を考えている人は基本的に区分A〜Cの3つのルートになります。そのため、今回は公認心理師になるための主なルート区分A〜Cを中心に説明します。

 

 

公認心理師の資格取得方法について
公認心理師の資格取得方法について

心理系の大学と大学院を卒業する公認心理師になるための基本ルート

これから公認心理師を目指す人の多くは、区分Aのルートになります。第7回公認心理師試験(令和6年3月3日実施)において受験者数を見ると、全受験者2089人に対して、1357人が区分Aで受験しており、他の区分と比較して一番多くなっています。今後も区分Aの割合は増えていくと予想されています。

 

 

区分Aの具体的なルートとしては、大学4年と大学院2年の合計6年間公認心理師のカリキュラムを受講し、受験するルートになります。大学では、公認心理師のカリキュラムに定められた25科目を受講する必要があり、80時間以上の心理実習も定められています。さらに、大学院では公認心理師のカリキュラムに定められた10科目を修了する必要があり、450時間以上の心理実践実習が定められています。

区分Aは、基本的に大学+大学院になりますが、4年生の専門学校で大学と同じように公認心理師対応のカリキュラムを実施している学校もあります。4年生の専門学校を卒業し、大学院へ進まれる人もいます。

心理系の大学から、大学院へ進学せずに実務経験を選択するルート

心理系の大学で必要科目を習得し卒業後に、大学院に進学する区分Aに対して、区分Bは実務経験を積むルートになります。ここで注意が必要な点は、実務経験として認められるのは、文科大臣・厚労大臣が認めるプログラムに沿って業務が実施されている施設のみです。さらに、2年以上の実務経験とされています。また、プログラムとは、要心理支援者に対する相談援助等の業務の実施に関する計画のことで、標準的には3年間でプログラムを終えることを想定しています。そのため、『2年以上の実務経験』とありますが、実質的には大学卒業後に3年間の実務経験が必要だと考えてください。

2024年6月現在のプログラム施設は9施設になります。

海外の大学や大学院を卒業した人向けのルート

おもに、外国の大学や大学院を卒業した人を対象としたルートです。外国の大学において心理に関する科目を修めて卒業、かつ、外国の大学院において心理に関する科目を修めてその

課程を修了した者等とされています。文部科学大臣及び厚生労働大臣の受験資格認定を受けた方が受験対象となります。受験資格認定が必要なので、必ず厚生労働省のホームページから最新の情報を確認してください。

 

1,日本の大学等(25科目)+外国の大学院

日本の大学又は専修学校の専門課程において公認心理師のカリキュラム科目を修めて卒業し、かつ、外国の大学院において心理に関する科目を修めてその課程を修了した者又は認定年度の3月31日までに修了する見込みの者。

 

2,外国の大学+日本の大学院(10科目)

外国の大学において心理に関する科目を修めて卒業し、かつ、日本の大学院において公認心理師のカリキュラム科目を修めてその課程を修了した者又は認定年度の3月31日までに修了する見込みの者。

 

3,外国の大学+日本のプログラム施設(9施設)

外国の大学において心理に関する科目を修めて卒業し、かつ、日本においてプログラム施設でプログラムを修了した者又は認定年度の3月31日までに修了する見込みの者

 

4,外国の大学+外国の大学院

外国の大学において心理に関する科目を修めて卒業し、かつ、外国の大学院において心理に関する科目を修めてその課程を修了した者又は認定年度の3月31日までに修了する見込みの者

 

5,外国の大学院+外国の心理職資格

上記の1から4までによらず大学院の課程修了相当の外国の心理職資格を得た者

 

6,過去に大学で履修科目が一部不足していた方

2017年9月15日より前に日本の大学等に入学し公認心理師になるために必要な科目を修めて卒業し、日本の大学院に令和4年3月31日までに入学し必要な科目を修めてその課程を修了し、申請日時点で心理的支援を業として行っている者

※令和4年度より新たに追加された対象区分です。対象者の要件としては、公認心理師になるために必要な科目を大学で23科目以上、大学院で必要な科目をすべて履修し、申請日時点において心理的支援業務に1か月以上従事していることになっています。詳細は厚生労働省のホームページで確認してください。

 

 

2017年9月15日より前に、大学院に入学または修了した人のルート

2017年9月15日より前に大学院を修了した人で、公認心理師となるために必要な科目を修めた人もしくは、2017年9月15日より前に大学院に入学し、2017 年9月15日以後に、公認心理師となるために必要な科目を修めて大学院の課程を修了した人のルートです。

2017年9月15日より前に大学に入学し、公認心理師となるために必要な科目を納めて卒業し、大学院へ進んだ人のルート

2017年9月15日より前に大学に入学し、公認心理師となるために必要な科目を修めて卒業し、2017年9月15日以後に大学院において公認心理師となるために必要な科目を修了した人のルートです。

2017年9月15日より前に大学に入学し、公認心理師となるために必要な科目を納めて卒業し、実務経験のある人のルート

2017年9月15日より前に大学に入学し、公認心理師となるために必要な科目を修めて卒業し、文部科学大臣及び厚生労働大臣が認めるプログラム施設での2年以上(実質的には3年)の実務経験がある人のルートになります。

まとめ

公認心理師試験の受験資格を得るためには、基本的に大学4年と大学院2年の計6年間学ぶ必要があります。医師、歯科医、薬剤師と同様に、専門性が担保されると同時に学ぶ期間も長くなります。心理職が国家資格になってからは、大学の心理学関係の学部卒以外の人にとっては取得が難しくなり、専門性の高い資格となりました。そのため、大学を受験するタイミングで将来の仕事をある程度考えておく必要があります。公認心理師は、産業、福祉、医療、教育、司法など様々な分野で活躍できる仕事ではありますが、人の心と向き合うことができるのか考えたうえで、進路を選択してもらえればと思っています。


プロフィール

【公認心理師】新田 猪三彦(にった いさひこ)

2007年より心理学や脳科学の講座を行い、医歯薬専門予備校で受験に必要なメンタルの強化法、保育士会調査研究委員会において「保育士・保護者のコミュニケーション講座」、市民と協働によるまちづくり提案事業、産学官包括連携事業などを行っている。
九州朝日放送運営のマイベストプロ福岡でコラムの執筆にも携わり、一人でも多くの人が心が豊かに生活できるように情報を発信している。
また、部活動のメンタルトレーニング、学校を中退した学生の受験・学習支援、受験を見守る保護者の相談、資格試験合格のためのモチベーション管理、タイプ別による学習法のアドバイスなども行っている。
<略歴>
公認心理師 /ふくおか成年後見センターさくら / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / PMD医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 文部科学省所管生涯学習開発財団(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー
・LINEトークCAREカウンセラー
・メンタルゼミ