初めての学会参加|心理学初心者のための学会参加ガイド

「心理学の学会に参加してみたいけれど、何をする場所なのか分からない」
「専門的な知識がなくても参加できるの?」
「参加するには、どこで申し込めばよいのだろう?」
心理学を学び始めると、大学の授業や教科書だけでなく、実際の研究や心理職の活動について、もっと知りたいと思うことがあるかもしれません。
そのようなときにおすすめなのが、心理学に関連する学会への参加です。
学会では、研究者や大学院生などによる研究発表を聞いたり、心理学の最新の研究成果に触れたりできます。学会によっては、心理学を学ぶ大学生や、これから大学院への進学を考えている方も参加できます。
この記事では、初めて学会に参加する心理学初学者に向けて、学会の基本的な仕組み、心理学に関連する学会の探し方、参加申し込みの手順、当日の流れまでを分かりやすく解説します!
1.そもそも学会とは?
学会は、研究成果を発表・共有する場所
学会とは、特定の学問分野に関心を持つ研究者や実践家などが集まり、研究成果や専門的な知見を発表・共有する場です。
心理学の学会では、人間の心や行動に関する研究、心理的な支援の方法、発達や社会生活に関する問題など、さまざまなテーマが扱われます。
学会の開催形式には、主に次のようなものがあります。
年次大会・学術大会
多くの研究者や大学院生などが集まり、複数の研究発表や講演が行われるイベント。
研究発表会
特定のテーマや研究領域について、研究成果を発表・議論する会。
研修会・講習会
特定の知識や技術について学ぶことを目的とした会。
シンポジウム
複数の登壇者が、特定のテーマについて異なる立場から発表や議論を行う場。
開催形式や内容は学会によって異なります。初めて参加する場合は、複数の研究発表や講演を聞ける年次大会・学術大会から調べてみてください。
学会では何が行われるの?
学会では、主に次のようなプログラムが実施されます。
① 口頭発表
研究者や大学院生などが、研究の目的、方法、結果、考察などをスライドを使って発表します。発表後には、参加者から質問が出たり、発表者と参加者の間で議論が行われたりすることも。
② ポスター発表
研究内容をまとめたポスターを掲示し、発表者が参加者に向けて説明します。発表者と直接話せる機会があり、研究について質問しやすい形式です。
③ 特別講演・招待講演
その分野で活躍する研究者や実践家などが、専門的なテーマについて講演します。基礎的な知識を深めたり、研究の背景を理解したりする機会になります。
④ シンポジウム
特定のテーマについて複数の専門家が発表し、それぞれの立場から議論します。一つの問題を多角的に考えるきっかけになります。
⑤ 研修・ワークショップ
心理支援に関する知識や技術などを学ぶプログラムです。ただし、専門資格や実務経験などが参加条件になっている場合もあるため、事前の確認が必要です。
ポイント:すべての学会でこれらのプログラムが実施されるわけではありません。参加を検討している学会の大会プログラムを確認してみましょう。
心理学初心者でも参加できる?
心理学を学び始めたばかりでも、参加できる学会や大会はあります。
ただし、学会への入会が必要かどうか、学生が参加できるか、非会員でも参加できるか、参加資格が設けられているかなどは、それぞれ異なります。
また、専門的な研究発表では、統計学や研究方法に関する知識が前提となる場合もあります。すべての発表を理解できなくても、初めての学会参加として問題ありません。
まずは、自分が関心を持っているテーマの発表を聞き、心理学の研究がどのように行われているのかを知ることから始めてみましょう。
2.心理学に関連する学会にはどのようなものがある?
心理学に関連する学会には、心理学全般を扱う学会から、発達、社会、臨床、教育などの特定の領域を扱う学会まで、さまざまなものがあります。
学会を探す際には、学会名だけでなく、自分が興味を持っている研究テーマや、将来関わりたい分野を手がかりにするとよいでしょう。
心理学全般に関心がある人
心理学の幅広い研究領域に触れたい場合は、心理学全般を扱う学会が候補になります。
例えば、心理学の基礎研究や応用研究に関心がある方は、次の学会を調べてみましょう。
- 日本心理学会
- 日本基礎心理学会
心理学の幅広い領域を知りたい方や、大学院で取り組みたい研究テーマを探している方にとって、研究発表を比較しながら聞く機会になります。
発達心理学・子どもの心理に関心がある人
子どもの発達、青年期の心理、親子関係、発達支援などに関心がある場合は、発達心理学に関連する学会が候補になります。
- 日本発達心理学会
発達に関する研究だけでなく、家庭や学校などの環境と人間の発達との関係について考えるきっかけにもなります。
社会心理学・対人関係に関心がある人
人間関係、集団、偏見、差別意識、社会的な態度などに関心がある場合は、社会心理学に関連する学会を探してみましょう。
- 日本社会心理学会
対人関係や集団の中で生じる心理的な現象に関心がある方に適した領域です。
臨床心理学・心理支援に関心がある人
カウンセリング、心理療法、心理的な問題への支援などに関心がある場合は、臨床心理学に関連する学会が候補になります。
- 日本心理臨床学会
- 日本認知・行動療法学会
心理支援に関する研究や実践について学ぶ機会になります。ただし、専門的な研修や実践技法を扱うプログラムでは、対象者や参加資格が限定されることがあります。
教育・学校現場での心理支援に関心がある人
学校生活、不登校、教育相談、スクールカウンセリングなどに関心がある場合は、教育や学校臨床に関連する学会を探してみるとよいでしょう。
研究領域が重なっている場合もあるため、教育心理学、臨床心理学、発達心理学など、複数の分野から探す方法もあります。
心理学の学会を探すときのポイント
学会選びでは、次の3点を意識してみましょう。
1.関心のある研究テーマが扱われているか
自分が知りたい内容に近い研究発表があるかを確認します。
2.初学者が参加できるか
学生の参加資格、非会員の参加可否、参加費などを確認します。
3.参加しやすい開催形式か
開催場所、日程、オンライン参加の有無などを確認します。
学会の公式サイトには、研究領域、開催予定、大会プログラム、参加方法などが掲載されています。まずは公式サイトから情報を集めてみましょう。
3.学会参加までの流れ
学会に参加するには、基本的に「学会を探す」「大会情報を確認する」「申し込む」「当日の準備をする」という順番で進めます。
ただし、申し込み方法や必要な手続きは学会によって異なります。
STEP 1参加したい学会・大会を探す
まずは、自分の興味に合った学会や大会を探します。
例えば、次のような方法があります。
- 心理学に関連する学会の公式サイトを確認する。
- 「心理学 学会 大会」「臨床心理学 学術大会」などのキーワードで検索する。
- 大学の教員やゼミの指導教員に相談する。
- 大学の掲示板や研究室で紹介されている学会情報を確認する。
初めての場合は、興味のあるテーマが複数扱われる大会を選ぶと、さまざまな研究に触れられます。
STEP 2大会の開催情報を確認する
参加したい大会が見つかったら、公式サイトで詳細を確認します。
特に重要なのは、次の情報です。
- 開催日・会場
- 参加登録の方法と期限
- 参加費
- 宿泊・交通手段
- プログラム・抄録集・学会アプリ
- ランチョンセミナーやハンズオン企画などの事前申込
「学会に参加するには、まず学会員にならなければならない」とは限りません。大会によっては、非会員でも参加できます。
一方で、会員と非会員で参加費が異なる場合や、学生向けの参加費が設定されている場合もあります。
参加資格や費用を確認したうえで、申し込むかどうかを判断しましょう。
STEP 3参加申し込みをする
参加条件を確認したら、案内に従って申し込みます。
オンラインで申し込む場合は、専用の参加登録サイトなどから、氏名、所属、連絡先などを入力することがあります。
申し込み後に参加費の支払いが必要な場合は、指定された期限までに手続きを済ませましょう。
申し込みが完了したら、登録完了メールや参加登録番号などを保管しておきます。
注意:研究発表を聞くための「大会参加登録」と、自分の研究を発表するための「発表申し込み」は別の手続きです。初めて参加する場合は、まず参加登録の案内を確認しましょう。
STEP 4大会プログラムを確認する
参加登録が済んだら、大会プログラムを確認します。
大会プログラムには、発表の時間、会場、演題名、発表者、講演内容などが記載されています。
自分が興味を持っているテーマの発表を探し、当日の予定を組み立てましょう。
初めての場合は、すべてのプログラムを理解しようとする必要はありません。特に興味のある発表を2〜3件選び、余裕を持って参加する計画がおすすめです。
STEP 5当日に向けて準備する
当日の準備として、次のことを確認しておきましょう。
- 会場までの交通手段と所要時間
- 受付の場所と開始時間
- 参加登録完了メールや参加証など
- 大会プログラムや抄録集
- 筆記用具やメモ帳
- 必要に応じてパソコンやタブレット、モバイルバッテリー
- 参加費の支払い状況
オンライン開催の場合は、参加用URL、ログイン方法、視聴環境などを事前に確認します。
対面開催では、会場の場所が分からずに慌てることがないよう、アクセス方法を確認しておくと安心です。
4.学会当日の流れ
初めて学会に参加すると、受付や会場での過ごし方が分からず、不安を感じることもあるかもしれません。
ここでは、対面開催の大会を例に、一般的な当日の流れを紹介します。
① 会場に到着する
まずは、受付開始時間や参加予定のプログラムに合わせて会場に向かいます。
初めて参加する場合は、会場の場所を確認したり、受付で手続きをしたりする時間を考慮し、余裕を持って到着するとよいでしょう。
② 受付を済ませる
受付では、参加登録の確認や参加証の受け取りなどを行います。
大会によっては、事前に発行されたQRコードや参加証が必要な場合もあります。案内に従って手続きを済ませましょう。
受付が終わったら、会場案内や当日のプログラムを確認します。
③ 聞きたい発表に参加する
プログラムを確認し、興味のある口頭発表や講演などに参加します。
発表を聞くときは、内容をすべて理解しようとするよりも、次の点に注目すると学びやすくなります。
- 研究者は何を明らかにしようとしているのか。
- どのような方法で研究しているのか。
- 研究によって何が分かったのか。
- 自分が授業で学んだ内容とどのようにつながるのか。
分からない専門用語があっても、すべてをその場で調べる必要はありません。気になった言葉や疑問をメモしておき、後から調べる方法でも十分です。
④ ポスター発表や休憩時間を活用する
ポスター発表では、興味のある研究の前で立ち止まり、内容を読んだり、発表者の説明を聞いたりできます。
発表者に質問したい場合は、発表の進行や周囲の状況に配慮しながら、簡潔に尋ねてみましょう。
また、休憩時間には、次のプログラムを確認したり、聞いた発表の内容を整理したりすることもできます。
必ず誰かと交流しなければならないわけではありません。まずは発表を聞くことを中心に参加しても問題ありません。
⑤ 参加した内容を振り返る
帰宅後は、聞いた発表の内容や印象に残ったことを簡単にまとめておきましょう。
例えば、次のような項目を記録しておくと、学びを整理できます。
- 印象に残った研究のテーマ
- 初めて知った専門用語
- 興味を持った研究方法
- さらに調べたいと思ったこと
- 今後の授業や研究に生かせそうなこと
学会で得た知識を振り返ることで、自分の関心や今後学びたいテーマを具体化しやすくなります。
5.初めて学会に参加するときによくある疑問
6.まとめ:まずは興味のある学会を探してみよう
心理学に関連する学会では、人間の心や行動に関する研究成果や、心理支援に関する知見などを学ぶことができます。
初めて学会に参加する場合は、次の流れで準備を進めてみましょう。
STEP 1 興味のある心理学の分野から学会を探す。
STEP 2 大会の開催日、参加資格、参加費などを確認する。
STEP 3 公式サイトの案内に従って参加申し込みをする。
STEP 4 大会プログラムから聞きたい発表を選ぶ。
STEP 5 当日は自分の関心に合わせて参加し、後から内容を振り返る。
初めての学会では、専門的な発表をすべて理解できなくても問題ありません。まずは興味のある研究に触れ、心理学の学びを広げる機会として活用してみましょう。
大学の授業で学んだ理論や知識が、実際の研究ではどのように扱われているのかを知ることで、心理学への理解がより深まるはずです。
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西南学院大学卒業、同大学大学院修了。公認心理師。Meg心理師国試予備校講師。大学院受験・国家試験受験の経験をもとに、受験生支援を行っている。
