【公認心理師国家試験対策】現役生から国試浪人まで!効率的な学習ステップ完全ガイド

公認心理師国家試験の受験生は、大学院修士2年生の夏くらいから国家試験を意識した勉強を開始する人がいる一方で、大学院によっては、資格試験よりも担当しているケース(実習)を重視し、十分な対策をしてもらえず、公認心理師試験国家試験直前の2~3ヶ月前から勉強を始めざるを得ない状況の人もいるのではないでしょうか。

 

また、国試浪人の場合であれば、1年弱くらいを国家試験に向けて勉強できますが、現役生は卒業論文、卒業試験、就職活動と忙しいため、なかなか時間が取れないのではないでしょうか。こう考えると時間が足りないのがよく分かります。

しかしながら、短期間でも合格を勝ち取る人もいます。今回は合格するための勉強法を予備校講師の視点から紹介していきます。

 

心理師

 

公認心理師試験まで時間がない人は、まずは問題集から!

試験まで1年程度ある人であれば、教科書や参考書を読んでしっかり学習できますが、試験まで時間がないという人は、まず問題集を解いてみましょう。丁寧な人、真面目な人ほど、教科書をひとつひとつ丁寧に学習しがちです。もちろん、教科書から基礎をしっかり学ぶ方法は正しいやり方だと思います。

 

しかし、一般財団法人日本心理研修センターが発表しているブループリント(公認心理師試験設計表)における、公認心理師試験出題基準の各大項目は24項目あり、覚える量も多く半年や2~3ヶ月で基礎から全て勉強するのは非常に大変だと思います。

以下、一般財団法人日本心理研修センターが発表しているブループリント(公認心理師試験設計表)における、公認心理師試験出題基準の各大項目24項目を紹介します。

 

*括弧内はブループリント(公認心理師試験設計表)の国家試験問題の出題割合

  1. 公認心理師としての職責の自覚(約6%)
  2. 問題解決能力と生涯学習(約3%)
  3. 多職種連携・地域連携(約2%)
  4. 心理学・臨床心理学の全体(約2%)
  5. 心理学における研究(約2%)
  6. 心理学に関する実験(約2%)
  7. 知覚及び認知(約2%)
  8. 学習及び言語(約2%)
  9. 感情及び人格(約2%)
  10. 脳・神経の働き(約2%)
  11. 社会及び集団に関する心理学(約2%)
  12. 発達(約5%)
  13. 障害者(児)の心理学(約3%)
  14. 心理状態の観察及び結果の分析(約8%)
  15. 心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助)(約9%)
  16. 健康・医療に関する心理学(約9%)
  17. 福祉に関する心理学(約9%)
  18. 教育に関する心理学(約9%)
  19. 司法・犯罪に関する心理学(約5%)
  20. 産業・組織に関する心理学(約5%)
  21. 人体の構造と機能及び疾病(約4%)
  22. 精神疾患とその治療(約5%)
  23. 公認心理師に関係する制度(約6%)
  24. その他(心の健康教育に関する事項等)(約2%)

問題集を解く準備をする

問題集を解くと言っても、何から始めたら良いか分からない人も多いと思います。まずは過去問を2~3年分解いて基礎的な知識が定着しているか確認する作業から始めましょう。

過去問2~3年分解くと、マニアックな用語や過去問であまり出題されていない難しい問題に焦点が当たりがちですが、繰り返し出題されている類似の基礎的な問題が解けているかどうかという点に意識を向けてください。

 

赤本公認心理師国試対策2021(坂井剛・宮川純 著 河合塾KALS監修  講談社)によると、比較的正解を一つに絞り込みやすい問題が40%程度出題されています。

難易度 第1回 第1追 第2回 第3回
難易度A
5つの中から完全にランダムで選ばざるを得ない難問
5.8% 18.8% 16.2% 16.9%
難易度B
正解の選択肢を2つまたは3つまで絞り込むことが出来る問題
52.6% 39.6% 43.5% 42.9%
難易度C
比較的正解を1つに絞り込みやすい問題
41.6% 41.6% 40.3% 40.3%

〖 出典:赤本公認心理師国試対策2021坂井剛・宮川純 著 河合塾KALS監修  講談社 〗

 

公認心理師国家試験は、60%超が合格ラインになるので、表からも分かるように、難易度Cの問題を正確に解き、難易度B問題を半分以上正解すれば合格できます。まずは、過去問を解いて、繰り返し出題されている基礎的な問題が解けているか確認し、理解が不十分な基礎的な問題がある分野から問題集を解いてみましょう。

問題集を解きながら、教科書や参考書で知識を増やす。

参考書

理解が不十分な分野、不得意な分野を問題集で解きながら、教科書や参考書でポイントを押さえていきましょう。この時に使う問題集は、一問一答の問題集や簡単な用語の正誤問題などを使いましょう。

理解が不十分な分野や不得意な分野において、いきなり難しい問題を解いても、時間もかかるでしょうし、モチベーションも上がらないので、まずは基礎的な問題集に取り組み、参考書も基本キーワードがまとめてある本や全体の概要がつかみやすい本を利用しましょう。

 

例えば、関係行政論において、心理職の現場で扱われる問題とその解決方法は,法制度と密接に結びつているものも多くあり、公認心理師の試験での出題もあります。

法制度については細かい知識が問われることがある一方で、心理学の知識を暗記する勉強と違い、モチベーションが上がりにくく、理解が不十分になりやすい部分でもあります。

また、統計の問題の出題もありますが、高校時代に文系で数学が苦手で、高校からの基礎がなく大学で単位取得のため必要な部分だけ学習した場合、高校数学Ⅰの〖データの分析〗の復習が必要になってきます。

箱ひげ図、分散と標準偏差、度数分布表と分散、相関関係など高校の分野の基礎を復習しないと公認心理師試験の問題で失点してしまう可能性があります。

 

まずは、このような受験生が弱点になりやすい分野から簡単な問題集で、基礎問題を解きつつ、教科書や参考書で知識をインプットしてみましょう。大切なことは、インプット中心になるのではなく、一問一答の問題集などアウトプットを必ず行いながら学習を進めることです。

同じ問題集を繰り返し、何回も解く

弱点や理解が不十分な分野の学習が進むにつれて、公認心理師試験の受験日も近づいてくると思います。試験が近づくにつれて不安になり、新しい問題集や参考書が気になってくる人もいるかもしれません。

しかし、新しい問題集や参考書に手を出すことはやめましょう。試験直前に新しい問題集や参考書に手を広げすぎると学習の質が下がり、中途半端な知識になってしまいます。今持っている参考書や問題集を徹底的に仕上げましょう。また、勉強する範囲をしぼって、集中的に勉強することも大切です。

 

あいまいな知識は点数に結びつかないため、確実な知識・基礎の理解を心がけて学習を進めることが大切です。問題集や参考書を読むだけでなく、アウトプット作業を行い、一歩一歩理解を深めていきましょう。

一般的に、一度解いただけで全ての問題を暗記することはできないので、繰り返しの学習が重要です。何度も解くことで、苦手分野の克服や間違えるパターンの改善法などが見つかっていきます。

最後は過去問をもう一度解く

過去問

仕上げの時期として、もう一度公認心理師試験の過去問を解きましょう。過去問は公認心理師試験の重要ポイントが凝縮されています。

過去問を解くことで、自分の今の実力と合格基準までの距離を把握できます。学習が進んでいない部分、もう少し頑張れば点数が伸びそうな部分など自分が学習すべき最後のポイントが見えてきます。

過去問は解くだけで終わりではありません。解答や解説をしっかり読み、間違えた問題にチェックをつけ、解答や解説をよく確認することが大切です。解説を読んでも理解できないというときは教科書や参考書をもう一度確認し、知識を整理していきましょう。

 

過去問を一通り解いた後には、繰り返し出題されている分野、事例問題など配点が高い分野などを再度教科書や参考書などを使って確認していきましょう。

特に事例問題は、解説を漫然と読むより、過去問を解いた後に「どういう視点で事例を捉える必要があったのか?」と疑問を持った状態で読んでいく方が記憶に残ります。

また、「〇〇の分野において問題が出題されるとしたらどんな問題になるだろうか?」「〇〇の分野で正誤問題を作るとしたらどんな問題になるだろうか?」など、自分が試験問題を作成する側になったつもりで教科書や参考書を再確認していきましょう。

まとめ

  • まずは過去問を数年分解いて、自分の知識の定着度合いを確認する。
  • 教科書や参考書の内容を単純に暗記するのではなく、問題集を積極的に解く。問題集を解きながら、教科書や参考書で調べながら学習する。
  • 同じ問題集を繰り返し何度も解く。反復することで知識が定着していく。
  • 最後にもう一度過去問を解き、「〇〇の分野で正誤問題を作るとすればどんな問題になるだろう」などと考え出題者側になって、教科書や参考書を再確認する。

プロフィール

【公認心理師】新田 猪三彦(にった いさひこ)

2007年より心理学や脳科学の講座を行い、医歯薬専門予備校で受験に必要なメンタルの強化法、保育士会調査研究委員会において「保育士・保護者のコミュニケーション講座」、市民と協働によるまちづくり提案事業、産学官包括連携事業などを行っている。
九州朝日放送運営のマイベストプロ福岡でコラムの執筆にも携わり、一人でも多くの人が心が豊かに生活できるように情報を発信している。
また、部活動のメンタルトレーニング、学校を中退した学生の受験・学習支援、受験を見守る保護者の相談、資格試験合格のためのモチベーション管理、タイプ別による学習法のアドバイスなども行っている。
<略歴>
ふくおか成年後見センターさくら / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / PMD医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 文部科学省所管生涯学習開発財団(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー
・LINEトークCAREカウンセラー
・メンタルゼミ