公認心理師と臨床心理士の資格取得から業務内容までの違いを徹底比較
公認心理師と臨床心理士:資格の概要
公認心理師とは
2017年に誕生した心理職初の国家資格です。心の健康に関する支援を行う専門家として、幅広い分野で活躍することが期待されています。
臨床心理士とは
1988年に設立された日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。長年にわたり、心理臨床の専門家として高い評価を受けてきました。
公認心理師と臨床心理士の違い:資格取得
項目 | 公認心理師 | 臨床心理士 |
---|---|---|
必要な教育課程 | 公認心理師カリキュラムに沿った4年制大学と大学院 | 大学の学部は不問、臨床心理士指定の大学院 |
受験資格 | 指定科目の履修 | 指定大学院の修了 |
試験 | 国家試験 | 資格認定協会による試験 |
更新制度 | なし | 5年ごとの更新(研修参加や論文発表が必要) |
公認心理師の資格取得プロセス
- 公認心理師カリキュラムに沿った4年制大学で指定科目を履修
- 同カリキュラムの大学院で学習
- 国家試験受験
- 合格後、公認心理師として登録
臨床心理士の資格取得プロセス
- 大学卒業(学部不問)
- 臨床心理士指定大学院で学習
- 資格試験受験
- 合格後、臨床心理士として認定
公認心理師と臨床心理士の違い:業務内容の比較
公認心理師の主な業務
- 心理状態の観察と分析
- 心理に関する相談、助言、指導
- 関係者への支援
- 心の健康に関する教育と情報提供
参考文献 厚生労働省:公認心理師 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116049.html
臨床心理士の主な業務
- 臨床心理査定(心理テスト等の実施と分析)
- 臨床心理面接(カウンセリング、心理療法)
- 臨床心理的地域援助(コーディネートやコンサルテーション)
- 研究・調査活動
公認心理師と臨床心理士の違い:実務における変化
公認心理師の誕生により、心理職の現場にも変化が起きています。特に以下の点に注目が集まっています。
- 医療機関での診療報酬改定:「臨床心理技術者」から「公認心理師」への置き換え
- スクールカウンセラー:現時点では両資格のどちらも採用対象
- 公的機関での公認心理師資格の重要性増加の可能性
参考文献:令和2年度診療報酬改定について https://www.jacpp.or.jp/document/pdf/2020housyukaitei-kaisetsu.pdf
文部科学省・スクールカウンセラー等活用事業実施要領 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1341500.htm
公認心理師と臨床心理士の違い:まとめ
公認心理師と臨床心理士の主な違いは以下の通りです。
- 資格の性質:公認心理師は国家資格、臨床心理士は民間資格
- 取得プロセス:公認心理師はより厳格なカリキュラム要件、臨床心理士は大学院での専門教育に重点
- 更新制度:公認心理師にはなし、臨床心理士は5年ごとの更新あり
- 業務内容:基本的な心理支援業務は共通だが、公認心理師は教育・情報提供にも重点
両資格とも心理支援のプロフェッショナルとして重要な役割を果たしていますが、今後は公的機関を中心に公認心理師の需要が高まる可能性があります。心理職を目指す方は、自身のキャリアプランに基づいて資格取得を検討することをおすすめします。
公認心理師と臨床心理士の違いに関するよくある質問(FAQ)
Q1:公認心理師と臨床心理士、どちらの資格を取得すべきですか?
A1: 将来のキャリアプランによって異なります。公的機関での勤務を考えている場合は公認心理師が有利かもしれません。一方で、研究や民間での活動を重視する場合は臨床心理士も魅力的な選択肢です。臨床心理士の資格を持っている人が公認心理師の資格も取得するケースもあります。
Q2:公認心理師の資格を持っていれば、臨床心理士の資格は必要ありませんか?
A2: 必ずしもそうとは言えません。臨床心理士は長年の実績があり、特定の分野では依然として重要視されています。また、臨床心理士の更新制度は継続的な学習を促すメリットがあります。
Q3: 公認心理師と臨床心理士の年収に違いはありますか?
A3: 一概には言えませんが、勤務先や経験年数によって異なります。公認心理師は国家資格のため、公的機関での待遇が改善される可能性があります。一方、臨床心理士は心理検査を行う機関での評価が高い傾向にあります。
Q4: 既に臨床心理士の資格を持っています。公認心理師の資格も取得した方がいいでしょうか?
A4: 今後の法改正や制度変更によっては、公認心理師の資格が必要となる場面が増える可能性があります。キャリアの幅を広げるという観点からも、公認心理師の資格取得を検討する価値はあるでしょう。
Q5: 公認心理師と臨床心理士の資格取得にかかる期間と費用に違いはありますか?
A5: 公認心理師は学部から大学院まで計6年程度かかります。臨床心理士は学部4年(学科は不問)、大学院修士の指定科目を取得することで、臨床心理士の資格試験を受験できます。そのため期間に大きな違いはありません。費用は大学や大学院によって異なりますが、仮に臨床心理士になる場合、心理学科を卒業したとすると公認心理師になる場合との違いはありません。
公認心理師と臨床心理士の違いについて、さらに詳しい情報が必要な場合は、各資格の公式サイトや専門家へのコンサルテーションをおすすめします。心理職を目指す皆様の今後のキャリア選択の一助となれば幸いです。
【公認心理師】新田 猪三彦(にった いさひこ)
2007年より心理学や脳科学の講座を行い、医歯薬専門予備校で受験に必要なメンタルの強化法、保育士会調査研究委員会において「保育士・保護者のコミュニケーション講座」、市民と協働によるまちづくり提案事業、産学官包括連携事業などを行っている。
九州朝日放送運営のマイベストプロ福岡でコラムの執筆にも携わり、一人でも多くの人が心が豊かに生活できるように情報を発信している。
また、部活動のメンタルトレーニング、学校を中退した学生の受験・学習支援、受験を見守る保護者の相談、資格試験合格のためのモチベーション管理、タイプ別による学習法のアドバイスなども行っている。
<略歴>
公認心理師 /ふくおか成年後見センターさくら / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / PMD医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 文部科学省所管生涯学習開発財団(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー
・LINEトークCAREカウンセラー
・メンタルゼミ