公認心理師を目指す学生必読!心理学部(心理学科)のカリキュラムと進級対策・留年防止で押さえるべきポイント

公認心理師を目指す学生必読!心理学部(心理学科)のカリキュラムと進級対策・留年防止で押さえるべきポイント

心理学部(心理学科)の進級対策について

大学に入学すると、サークルや部活、学園祭など楽しいことがたくさん待っています。新入生の中には、小中学校でスクールカウンセラーとして働きたい、病院で心理師として働きたいなど夢を描いて入学する人もいるのではないでしょうか。

 

公認心理師を目指している人は、大学の学部4年、大学院2年の合計6年間勉強して、国家試験を受ける必要があります。入学当初は、勉強しようと思っていても、ついつい遊びすぎてしまい、進級が難しくなったり、夢をあきらめざるを得なくなったりする人もいます。漠然と大学に入ってしまえば、公認心理師になれると思っていては、公認心理師になることはおろか進級することすら危ぶまれます。

 

心理学部(心理学科)でのカリキュラムは、高校と比べ、範囲や内容のレベルが格段に上がってきます。たくさんの知識の理解と暗記だけでなく、実習などに時間をそがれ、勉強する時間が十分に取れないこともしばしばあります。そのため、留年せずに、進級するためには日頃からしっかりと勉強することが重要です。

公認心理師をめざす基礎心理学を学ぶ

公認心理師をめざす基礎心理学を学ぶ

公認心理師になりたいと思って心理系の学部に入学した人もいれば、何となく心理学に興味があって心理系の学部に入学したという人もいるかもしれません。1年生の時にまず確認することは、在学している大学が公認心理師になるために必要なカリキュラム等を満たしているのかを確認する必要があります。

心理系の学部に在籍していたり、心理学を専攻していたりしても、公認心理師の受験資格を満たしているとは限りません。必要な要件を満たしているかどうかは、自分の判断で行わず、必ず大学に確認してください。

 

もし現在通学している大学が公認心理師カリキュラムを満たしていない場合は、別の大学に入学し直さなければなりません。特に何となく心理学に興味があって入学した人は必ず確認するようにしましょう。

2年生、3年生と学年が上がって、公認心理師の要件を満たしていないことが分かっても手遅れです。必ず1年生の段階で確認しましょう。

 

公認心理師の要件を満たしていることを確認したうえで、1年生の間は教養科目にも力を入れて学習しましょう。

心理に興味があって入学した皆さんは、心理系の科目は積極的に学ぶと思いますが、数学や英語もしっかり学習しましょう。数学は心理学研究の統計手法、英語は海外の心理系の論文を読むときに必要になってきます。大学院進学のときにも、心理学研究における統計、英語は必要になりますので、しっかりと基礎を学びましょう。

もし、難しいと感じることがあれば、高校の内容に戻って学習しましょう。特に、高校は文系であまり数学を勉強してこなかった人は、高校数学のデータや統計の分野だけでも復習しておきましょう。

 

また、心理とは関係のない分野の学問に触れておくことも大切です。心理職は、医療、福祉、教育、司法、産業など様々な分野で活躍しています。大学1年生の間に様々な分野の知識を習得しておくことで、将来役に立つことも多くなると思います。

心理学の専門的な内容を習得する

心理学の専門的な内容を習得する

1年生で、一般教養や心理学の基礎を幅広く学び、2年生では心理学の中でも、自分の関心や興味のある分野を考え、分野をしぼっていくことになります。心理学を学ぶにつれて入学した時とは心理学に対する気持ちが変わる人もいるのではないでしょうか。

学生の中には、中学校や高校の時にカウンセリングを受けた経験があり、教育分野でカウンセラーになりたいと思っていたが、大学で勉強する中で、犯罪者の立ち直りや被害者のケアに関わる心理職をやってみたいと思う人もいます。同じ心理職でも働きたい分野が変わるというケースもあります。

 

2年生からは専攻の学びを深めていきますし、大学によっては2年生の夏休みなどに心理職がどのような所で働いているのか現場を体験するプログラムを行っています。学ぶ内容も「認知心理学」「学習心理学」「発達心理学」「心理学研究法」など専門的な内容になっていきます。

1年生から2年生に進級するときは、ぎりぎり進級できても、授業内容の理解が不十分だと2年生以降で苦労し、授業の専門性が高まると、曖昧な理解では対応できなくなります。

さらに、この時期に学ぶ内容は大学院入試の問題や公認心理師試験の問題にも出題される内容を多く含んでいます。1年生、2年生で心理学の基礎をしっかり学習することが重要です。

大学院入試のための準備をスタート

大学院入試のための準備をスタート

3年生になるとゼミでより専門的な内容を学習し、実際に現場で見学実習を行うということもでてくるのではないでしょうか。臨床の実践などを通して、興味のある分野や将来の進路に沿った学びを深めていきます。

3年生の時期は、公認心理師を目指して大学院に進学するのか、それとも心理系の公務員、一般企業に就職するのかなど将来を選択する大切な時期でもあります。公認心理師を目指して心理系大学院の受験を検討している人は、学部3年生の4月くらいから、大学院の情報収集をスタートしましょう。

 

大学院の説明会に参加し、大学院での研究を知ることも大切です。心理系の大学院進学を考えている場合は、心理学の知識を学ぶことも大切ですし、英語の勉強も必要です。また、大学院進学のためには、研究計画書作成や研究室訪問なども必要です。

 

 

4年間の学びの集大成と大学院進学

4年間の学びの集大成と大学院進学

心理系の大学院の多くは4年間の集大成として卒業論文の作成を行います。卒業論文の作成を行いながら、3年次までに学んだ社会心理学、発達心理学、行動心理学などの内容が実際に現場でどのように活用されているかを体験する心理実習が行われます。

公認心理師が業務を行う主な5分野(保健医療分野、教育分野、福祉分野、司法・犯罪分野、産業・労働分野)の施設に出向き、実務を行う専門家から業務についての説明を受けるとともに仕事の場面を見学します。

心理に関する支援を求める人々に対して、どう寄り沿っていくのかを学びます。大学によっては3年生から心理実習を行う大学もあります。

 

心理実習を通して、公認心理師が業務を行う主な5分野の中で具体的に自分がどのような現場で仕事をしていくのか方向性を決めいきます。

例えば、医療分野であれば、精神科、心療内科、保健所など、福祉分野であれば、児童相談所、発達障害者支援センター、地域包括支援センターなど、教育分野であれば、スクールカウンセラー、教育支援センター、学生相談など、産業分野であれば、企業、ハローワーク、地域障害者職業センターなど、司法分野であれば、家庭裁判所、少年鑑別所、犯罪被害者支援センターなど自分の働く未来図を描いていきます。卒業論文の作成や実習で忙しい中で、大学院進学の勉強もしなければなりません。大学院進学のためには、これまで4年間学んだ心理学の知識の復習と英語の学習が重要です。

早めの準備と対策が必要です。学習計画をしっかりと作成し、勉強を進めましょう。

研究と実習を通して、心理の専門家へ

研究と実習を通して、心理の専門家へ

大学院は研究と実習が中心になります。研究においては、先行研究・文献の考察、実践活動において生じる各自の問題意識に基づいて、調査を行います。大学院に入学する際に大学院に提出した研究計画書を土台に研究を進めますが、大学院に入学する際に提出した内容と別の内容で研究を行う人もいます。

ただし、研究内容の変更などについては指導教官と相談が必要です。実習については、臨床心理の専門家として必要な技法の基礎を習得します。面接の基本、心理技法の基礎を中心に実習を行います。インテーク面接、心理検査、ロールプレイング、援助方法などを学び、事例検討会などを行います。

学外での実習については、実習記録をもとに、グループ・ディスカッション、スーパービジョンを行います。

 

実習を進める中で、自分自身のメンタルが辛くなるケースもあります。自分自身の心が揺さぶられることもあるかもしれません。

実習を通して、自分の感情のコントロール、対人関係の作り方などを学び、自分自身の心を成長させることも大切です。研究と実習で忙しい中で、公認心理師の試験準備などに時間を当てる余裕がない人もいるでしょう。大学院によっては、公認心理師の試験よりも研究や実習を重視している場合もあり、ほとんど試験対策をせずに受験を迎える人もいるかもしれません。大学院に入学したら、2年後の公認心理師の試験を意識して学習することも重要です。

 

まとめ

【大学1年生・2年生】
公認心理師になるために必要なカリキュラムを確認し、必要科目を必ず習得する。心理学の知識の習得、統計の基礎、英語などもしっかり学習しましょう。
【大学3年生・4年生】
大学院入試の準備を早めにスタートし、研究計画書作成や研究室訪問を行う。卒業研究もあるので、大学院入試に必要な内容をしぼって、学習計画を立て勉強を進めましょう。
【大学院1年生・2年生】
大学院は、研究と実習で日々忙しい状況が続くことが多い。公認心理師の試験対策を大学院では行わないことが多いので、早い段階から自ら対策を考え、学習することが大切。


プロフィール

【公認心理師】新田 猪三彦(にった いさひこ)

2007年より心理学や脳科学の講座を行い、医歯薬専門予備校で受験に必要なメンタルの強化法、保育士会調査研究委員会において「保育士・保護者のコミュニケーション講座」、市民と協働によるまちづくり提案事業、産学官包括連携事業などを行っている。
九州朝日放送運営のマイベストプロ福岡でコラムの執筆にも携わり、一人でも多くの人が心が豊かに生活できるように情報を発信している。
また、部活動のメンタルトレーニング、学校を中退した学生の受験・学習支援、受験を見守る保護者の相談、資格試験合格のためのモチベーション管理、タイプ別による学習法のアドバイスなども行っている。
<略歴>
ふくおか成年後見センターさくら / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / PMD医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 文部科学省所管生涯学習開発財団(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー
・LINEトークCAREカウンセラー
・メンタルゼミ