心理系大学院における秋入試と春入試の違いについて

公認心理師や臨床心理士を目指して心理系大学院への進学を検討されている方にとって、秋入試と春入試のどちらを選ぶかは重要な選択です。
多くの大学院では年に2回の募集機会がありますが、それぞれの試験には明確な特徴があり、合格戦略も異なります。本記事では、心理系大学院の秋入試と春入試の違いについて、出願時期、募集人数、対策方法などを詳しく解説します。
心理系大学院への進学を目指す人にとって、春入試と秋入試の違いを知っておくことはとても大切です。多くの大学院では「秋入試」と「春入試」の2回の募集機会を設けており、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。特に臨床心理士指定大学院や公認心理師対応課程を志望する場合、入試時期の選択は合否だけでなく、進学後の研究生活やキャリア形成にも影響を与える可能性があります。ここでは、秋入試と春入試の違いについて説明します。
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秋入試の特徴とメリット・デメリット

まず、秋入試は一般的に「本試験」として位置づけられていることが多く、募集人数が多い傾向にあります。大学院の中には、秋入試で定員の大半を充足することをもありますので、募集人数を確認することが大切です。多くの大学院では出願時期は6月~8月、試験は8月~10月にかけて実施されます。合格発表は9月~11月にかけて行われ、翌年4月の入学までに半年近い準備期間が確保されます。このため、合格後に研究テーマの再検討や引越し、生活設計など余裕を持って進めることができます。
- 募集枠が多く、複数校を併願しやすい
- 大学によって試験日程が異なるため、戦略的に3〜5校程度の併願が可能
- 受験者数が多いため、相対評価の中で自分の強みを発揮しやすい
- 合格後に半年近い準備期間が確保できる
秋入試の最大のメリットは、募集枠が多く、複数校を併願しやすい点です。大学によって試験日程が異なるため、戦略的にスケジュールを組めば、3〜5校程度の併願が可能です。また、受験者数が多いため、相対評価の中で自分の強みを発揮しやすいという側面もあります。
特に学部4年生にとっては、卒業論文の準備と入試対策を並行して進める必要があり、時間的・精神的負担が大きくなることがあります。また、夏期講習やオープンキャンパス、研究室訪問などのイベントが重なるため、スケジュール管理が求められます。さらに、人気校では倍率がかなり高くなることもあり、十分な準備がなければ合格は難しいといえます。
一方で、秋入試にはいくつかの注意点もあります。特に学部4年生にとっては、卒業論文の準備と入試対策を並行して進める必要があり、時間的・精神的負担が大きくなることがあります。また、夏期講習やオープンキャンパス、研究室訪問などのイベントが重なるため、スケジュール管理が求められます。さらに、人気校では倍率がかなり高くなることもあり、十分な準備がなければ合格は難しいといえます。
春入試の特徴とメリット・デメリット

これに対して、春入試は秋入試の補欠的な位置づけであり、定員に満たなかった場合や追加募集を行う場合に実施されるケースもあります。出願は11月~1月、試験は1月~2月にかけて行われ、合格発表から入学までの期間は1〜2か月と非常に短いです。募集人数は少なく、1〜3名程度のことも多いため、競争率は秋入試以上に高くなる傾向があります。
- 秋入試での経験を踏まえて、研究計画書の修正や面接対策の強化が可能
- 秋入試で不合格だった場合の「再挑戦の機会」として活用できる
- 大学や年度によっては、募集枠に対して受験者が少なく倍率が下がるケースもある
春入試のメリットは、秋入試で不合格だった場合の「再挑戦の機会」として活用できる点です。秋入試での経験を踏まえて、研究計画書の修正や面接対策の強化を行い、より完成度の高い受験準備が可能となります。また、秋入試に比べて受験者数が少ないため倍率が下がるケースもあれば、少ない募集枠に対して受験する人が増え倍率が上がるケースもあります。これは大学や年度によって異なるため、過去の募集要項や合格者数を確認することが重要です。
募集人数の少なさに加え、合格後の準備期間が短いことが挙げられます。特に遠方の大学に進学する場合、引越しや住居探し、生活環境の整備を短期間で行う必要があり、精神的・物理的な負担が大きくなります。
春入試のデメリットとしては、募集人数の少なさに加え、合格後の準備期間が短いことが挙げられます。特に遠方の大学に進学する場合、引越しや住居探し、生活環境の整備を短期間で行う必要があり、精神的・物理的な負担が大きくなります。
秋入試と春入試の比較表

| 項目 | 秋入試 | 春入試 |
|---|---|---|
| 出願時期 | 6月~8月 | 11月~1月 |
| 試験実施時期 | 8月~10月 | 1月~2月 |
| 合格発表 | 9月~11月 | 2月~3月 |
| 入学までの期間 | 約5〜7ヶ月 | 約1〜2ヶ月 |
| 募集人数 | 多い(本試験) | 少ない(補欠的) |
| 競争率 | 高い(人気校) | 非常に高い(狭き門) |
| 併願のしやすさ | しやすい(3〜5校可能) | しにくい(日程が限られる) |
| 準備期間 | 十分に確保できる | 短期間での準備が必要 |
受験戦略の立て方
このように、秋入試と春入試はそれぞれに明確な特徴があり、受験生の状況や志望校の方針によって最適な選択は異なります。一般的には、秋入試を第一志望として準備を進め、春入試をバックアップとして位置づけるのが効果的な戦略です。特に、複数校を併願する場合は、秋入試での合格を目指しつつ、春入試の情報も早めに収集しておくことが望ましいと考えています。
また、社会人や他学部出身者が受験する場合は、準備に時間を要することが多いため、秋入試を目標に据えて計画的に学習を進めることが推奨されます。心理学の基礎知識、研究計画書の作成、英語力の強化、面接対策など、複数の課題を並行してこなす必要があるため、半年以上の準備期間を確保することが理想的です。
- 秋入試を第一志望とし、複数校を併願する計画を立てる
- 春入試の情報も早めに収集し、バックアップとして準備する
- 過去の募集要項や合格者数を確認し、倍率の傾向を把握する
- 半年以上の準備期間を確保し、心理学の基礎知識や研究計画書の作成に取り組む
- 社会人や他学部出身者は、特に計画的な学習スケジュールを立てる
まとめ:自分に合った入試時期を選ぶために
最後に、心理系大学院入試は単なる知識試験ではなく、研究者・臨床家としての資質や姿勢が問われる場でもあります。入試時期の選択は、単なるスケジュールの問題ではなく、自分自身の準備状況、志望動機、将来の仕事と密接に関係しています。秋入試と春入試の違いを正しく理解し、自分にとって最も効果的な受験戦略を立てることが、合格への第一歩となります。
公認心理師や臨床心理士として活躍するための第一歩として、適切な入試時期を選び、計画的に準備を進めていきましょう。
【公認心理師】新田 猪三彦(にった いさひこ)
2007年より心理学や脳科学の講座を行い、医歯薬専門予備校で受験に必要なメンタルの強化法、保育士会調査研究委員会において「保育士・保護者のコミュニケーション講座」、市民と協働によるまちづくり提案事業、産学官包括連携事業などを行っている。
九州朝日放送運営のマイベストプロ福岡でコラムの執筆にも携わり、一人でも多くの人が心が豊かに生活できるように情報を発信している。
また、部活動のメンタルトレーニング、学校を中退した学生の受験・学習支援、受験を見守る保護者の相談、資格試験合格のためのモチベーション管理、タイプ別による学習法のアドバイスなども行っている。
<略歴>
公認心理師 /ふくおか成年後見センターさくら / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / PMD医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 文部科学省所管生涯学習開発財団(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー
・LINEトークCAREカウンセラー
・メンタルゼミ
