公認心理師対応大学院入試合格へ向けて
今回は、公認心理師に対応した大学院入試を検討している人、将来公認心理師として働きたいと思っている人、どこの大学院入試を受けるようか考えている人に、最初にやるべきことをお伝えします。これから公認心理師対応大学院入試の受験勉強を始める人がまずやるべきことは「大学で習得すべき単位の確認」、「大学院での研究テーマの設定」、「志望する大学院の調査」、「研究室の訪問」、「志望する大学院の過去問研究」の5つです。
公認心理師を目指して心理系大学院の受験を検討している人は、学部3年生の4月くらいから情報収集することをおすすめします。心理系の大学院は5月~7月にかけて大学院の説明会を行うところがあり、説明会に参加し、大学院での研究を知ることで、大学院受験で必要になる研究計画書作成など余裕を持って受験勉強を進めることができます。
大学において公認心理師受験のために必要な科目を必ず取得する
文部科学省及び厚生労働省が発表している公認心理のカリキュラムにおいて、大学において修める科目は25科目と定められています。
また、心理実習については、保健医療、福祉、教育等の分野の施設において実施することとなっています。将来、公認心理師を目指すのであれば、以下の科目を大学できちんと習得しましょう。
- 公認心理師の職責
- 心理学概論
- 臨床心理学概論
- 心理学研究法
- 心理学統計法
- 心理学実験
- 知覚・認知心理学
- 学習・言語心理学
- 感情・人格心理学
- 神経・生理心理学
- 社会・集団・家族心理学
- 発達心理学
- 障害者(児)心理学
- 心理的アセスメント
- 心理学的支援法
- 健康・医療心理学
- 福祉心理学
- 教育・学校心理学
- 司法・犯罪心理学
- 産業・組織心理学
- 人体の構造と機能及び疾病
- 精神疾患とその治療
- 関係行政論
- 心理演習
- 心理実習
【参考資料:厚生労働省】 「公認心理師のカリキュラム等について」はこちら
大学院で研究したいテーマを決める
大学院受験では、「研究計画書」の提出が必要になってきます。自分が大学院で研究したいこと、興味関心があることをまとめて提出する必要があります。さらに、面接では、研究計画書の内容について、口頭試問が実施され、自分が〇〇大学でどんなことを研究したいのか説明しなければなりません。
大学院の受験は、難易度ではなく「自分のやりたい研究ができるかどうか」で志望校を決めることが大切です。自分が研究したい内容が必ずしも難易度の高い大学で研究できるとは限りません。
なかなかテーマが決まらないという人は、CiNiiやGoogle scholarを活用して、自分の興味のある分野を検索したり、ニュースや話題になっている用語を検索したりして、研究してみたいテーマをしぼりましょう。
ある程度、自分の研究テーマがしぼれてきたら、関連する研究をしている教授を調べ、CiNiiやGoogle scholarで教授の名前で論文検索したり、教授のホームページを調べたりして、どこの大学で自分の関心がある内容を研究できるか調べましょう。
関心がある大学院について詳しく調べる
ある程度自分の研究テーマをしぼり、大学院で学んでみたい先生が見つかったら、次はその先生がいる大学院について詳しく調べる必要があります。大学院入試において、大学院説明会には必ず参加してください。大学院説明会では、大学院に関する情報を集めるだけでなく、学んでみたいと思っている先生の研究内容が自分の研究したい内容と一致しているのか、コミュニケーションをしっかりとれる先生なのか、先生の研究実績はどうなのか、しっかり確認しましょう。
また、学会発表などに参加してみるのも先生を知る良い機会になります。学会によっては交流会などもあり、先生だけでなく先生の研究室で学んでいる先輩方と話す機会もあり、研究室のリアルな情報を知ることができます。大学院を知る上で、さらに重要なことは、研究室訪問です。
心理系の大学院の研究室は、それぞれの先生が主体で、勉強会や研究会を開催していることも多く、先生により方針や考え方が大きく異なっているケースがあります。受験生が想像している研究室のイメージと、教授が実際に行っている研究室の内容が異なっていたり、研究テーマは合致しているものの先生との相性が良くなかったりする場合、大学院生活が苦しいものになってしまいます。
研究室の訪問について
自分が通っている大学の大学院に進学する予定の人であれば、大学院の教授の顔も知っているでしょうし、研究室に訪問するハードルは外部受験生よりも低いかでしょう。しかし、外部受験生にとっては、研究室訪問に高いハードルを感じている人もいるかもしれません。
研究室訪問を申し込む方法として、大学院の説明会後に研究室訪問を行っているケースが多く見られますが、中には説明会はあるものの、個別訪問については各自に任せている大学もあるようです。
また、説明会に参加できなかった場合は、個人で研究室訪問のアポイントメントを取る必要があります。その際に、教授に直接メールをしても良いのか、大学の入試課などの窓口と通して連絡する必要があるのかホームページで確認してください。最初のアポイントメントがうまくいかないと、せっかく研究したいと思っていても印象が悪くなるケースもあるので注意が必要です。
直接教授にメールを送る場合は、緊張もあるかもしれませんが、多くの教授は研究室訪問を受け入れてくれます。ただ、多忙の教授も多く、一日に大量のメールに目を通す必要がある教授もいるので、メールの内容は簡潔にまとめることが大切です。
内容としては、教授の論文と自分が研究したい内容の共通点、大学院入学後の研究内容などを書いておけば良いと思います。
志望する大学院の過去問を分析する
心理系の大学院は、〖心理学〗と〖英語〗の2科目が受験の柱になります。
〖心理学〗については、大学院に在籍している教授の研究分野が反映された問題が多く、大学院によって、問題が大きく異なっています。そのため、まずは大学院の過去問を研究しましょう。
志望する大学院に在籍している先生が執筆している本や先生が所属している学会の本などに目を通しておくことも大切です。外部受験の場合は、学会や研修会に参加し、学びたいと思っている先生の研究室の先輩と仲良くなり、先輩方から過去問の情報を得る方法もあります。
また、志望する大学院の学部生のカリキュラムやシラバスがホームページに掲載されている場合は、掲載されている教科書と過去問を比較しながら、過去問を研究する方法もあります。
〖英語〗については、大きく分けて①大学独自の英語問題が出題されるパターン、②TOEICスコアの提出によって判定するパターン、③英語の試験がないパターンの3つです。ほとんどは大学独自の英語問題が出題されるパターンですが、自分が志望する大学院がどのパターンなのかを確認しましょう。
大学独自の英語問題が出題される場合は、心理系の英単語を覚える必要がありますが、TOEICであれば覚える単語はビジネス系の単語になります。心理系の大学院を受験するにあたって、英語の勉強のスタートラインが大きく変わるので、英語の出題内容に関しては必ず確認しましょう。
公認心理師新田猪三彦から一言
公認心理師を目指して大学に入学した人の中には、難易度で大学を決めた人もいるかもしれません。しかし、大学院受験に関しては、難易度で決めてしまうと、自分の興味関心がある分野を学ぶことができず、大学院での勉強が苦しいものになってしまいます。
有名な大学院だから〇〇〇大学院に行くではなく、心理学の△△△に興味関心があるから〇〇〇大学院に行く、大学院で△△△を研究したいので〇〇〇大学院に行くという気持ちを大切にしてください。自分の興味関心がある分野が決まれば、進む大学院が決まり、必要な勉強も決まってきます。
勉強が進む中で、学習方法が分からない、研究計画書の書き方が分からない、大学院入試の面接の対策が分からないということがあるかと思います。そんな時は、Megの予備校講師に相談してもらえればと思います。大学院入試の勉強は大変なこともあるかもしれませんが、応援しています!
【公認心理師】新田 猪三彦(にった いさひこ)
2007年より心理学や脳科学の講座を行い、医歯薬専門予備校で受験に必要なメンタルの強化法、保育士会調査研究委員会において「保育士・保護者のコミュニケーション講座」、市民と協働によるまちづくり提案事業、産学官包括連携事業などを行っている。
九州朝日放送運営のマイベストプロ福岡でコラムの執筆にも携わり、一人でも多くの人が心が豊かに生活できるように情報を発信している。
また、部活動のメンタルトレーニング、学校を中退した学生の受験・学習支援、受験を見守る保護者の相談、資格試験合格のためのモチベーション管理、タイプ別による学習法のアドバイスなども行っている。
<略歴>
公認心理師 /ふくおか成年後見センターさくら / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / PMD医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 文部科学省所管生涯学習開発財団(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー
・LINEトークCAREカウンセラー
・メンタルゼミ