【2025年】第8回公認心理師試験 解答・解説まとめ
[第8回公認心理師試験問題解説]
公認心理師試験問題をこれから解くという人もいれば、実際に過去問を解いたという人もいるかと思います。
今回は、第8回公認心理師試験問題の中から、いくつか抜粋し解説していきます。
公認心理師試験問題でどんな問題が出題されるのか、どういう傾向にあるのか、今後の学習のヒントにしてもらえればと思っています。
今回選んだ問題には、[「えっ!?こんな問題も出題されるの??」という問題もあります。]
公認心理師試験は、幅広い知識が問われます。ただ、試験本番では、見慣れない問題が出題されても焦らないことが大切です。
第8回公認心理師試験問題の解説
[1]医学分野に関する問題について
問34
プリン体の代謝産物であり、痛風の発症に関わる物質として、正しいものを1つ選べ。
生理学の知識が必要になってくる問題です。痛風になる主な理由を考える必要があります。
問題の解答を先に説明すると、プリン体の代謝によって生じる主要な代謝産物は尿酸です。
体内でプリン体が分解されると、最終的に尿酸として排出されます。
しかし、尿酸値が高くなりすぎると、炎症が起き痛風を発症することがあります。
よって、②の尿素が正解になります。
公認心理師試験のブループリントにも、「人体の構造と機能及び疾病」という項目があり、この項目からの出題と考えられます。
[2]心理支援における心理技法
問29
注意欠如多動症/注意欠如多動性障害〈AD/HD〉のある児童で、授業への集中に困難が認められるケースの支援として、最も適切なものを1つ選べ。
ADHDのある児童が授業に集中しやすくなるための支援としては、授業の進め方をスモールステップで区切り、短い時間で達成感を得られるようにすることや、座席の配置を調整し刺激の少ない環境を整えることも集中力の維持に役立ちます。
また、授業中に適度な身体活動を取り入れること、指示を明確にすること、視覚的なサポートをすることも重要だと考えられています。
今回の5つの選択肢の中では、刺激の少ない環境を整えるという視点で考えると「③教室前方の黒板周囲の掲示物を減らす」というのは支援としては適していると考えらます。
[3]施設や法律に関する問題
問2
保護者のない児童、虐待されている児童などに対して安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、職業指導及び家庭環境の調整を行いつつ児童を養育することにより、児童の心身の健やかな成長とその自立を支援することを目的とする施設として、最も適切なものを1つ選べ。
児童相談所、児童養護施設などは例年出題されており、施設の概要をしっかり理解しておくことが大切です。
厚生労働省のホームページに、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童に対し、安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、家庭環境の調整等を行いつつ養育を行い、児童の心身の健やかな成長とその自立を支援する機能をもつものを児童養護施設と明記されています。
第9回でも類似の施設の出題は十分に考えられますので、きちんと復習しましょう。
厚生労働省:社会的養護の施設等について
[4]配点の高い事例問題
問137
1歳10か月の女児A、約1年前から保育所に入所している。入所当初は、担当保育者B以外の職員が近づくと、極度に不安を示し、激しく泣き続けることが多かった。
しかし、最近では、B以外の職員に対しても泣くことはほとんどなくなった。
その一方で、B以外の職員から、踊って見せてと言われたり、踊っているところをほめられたりすると、黙りがちになり、その人たちから少し恥ずかしそうに視線をそらしたり、うつむいたりする様子が頻繁に見られるようになった。
Aの行動上の変化の背景に想定される心理的な発達として、最も適切なものを1つ選べ。
文章をいつかのパートに分けて考えてみましょう。
1. 愛着の形成と安心感の拡大
入所当初は担当保育者Bに強く依存し、他の職員に対して不安を示していました。しかし、時間が経つにつれて環境に慣れ、B以外の職員にも安心感を持てるようになったと考えられます。これは愛着の形成が進み、社会的な関係を広げる段階に入った可能性があります。
2. 自己意識の発達
最近のAの行動(恥ずかしそうに視線をそらす、うつむく)は、自己意識の発達によるものと考えられます。1歳10か月頃になると、他者の視線を意識し始め、「自分がどう見られているか」を気にするようになります。特に、注目される場面では恥ずかしさを感じることが増えます。
3. 社会的な感情の発達
この時期の子どもは、賞賛や評価に対する感受性が高まります。踊ることを求められたり、褒められたりすることで、「期待に応えなければならない」という気持ちが芽生え、戸惑いや恥ずかしさを感じることがあります。これは、社会的なルールや他者との関係を理解し始める発達段階の一部と考えることもできます。
4. 自己主張と選択の意識
AはB以外の職員に対して泣くことはなくなったものの、踊ることを求められると黙りがちになるという行動は、「自分の気持ちを表現する」ことの一環とも考えられます。つまり、「踊ることに対して抵抗を感じる」「自分の気持ちを優先したい」という自己主張の表れかもしれません。
よって、選択肢を考えると、「②自己意識」が選ぶことが適切だと考えられます。
まとめ
1. 試験の構成を理解する
公認心理師試験は、心理学の幅広い分野から出題されます。特に以下の分野が重要です。
- 心理学の基礎(認知心理学、発達心理学、社会心理学など)
- 医学分野の基礎(人体の構造、機能など基本的な内容)
- 臨床心理学(心理療法、カウンセリング技法など)
- 法規・倫理(公認心理師法、医療・福祉・教育・労働関連法規)
- 統計・研究法(心理学研究の方法、データ分析)
2. 過去問を活用する
過去問を解くことで、問題の傾向をつかみ、試験の形式に慣れることができます。特に以下の点に注意して学習しましょう。
- 選択肢のパターンを分析する(似た選択肢がある場合、どこが異なるか、1つを選ぶのか2つを選ぶのかを確認して取り組む)
- 配点が高い事例問題の解答方法、解答の手順を反復する(実際のケースを想定しながら考える)
- 時間配分を意識する(多くの受験生は時間内に終わっているが、試験時間内にすべての問題を解けるように練習しておく)
3. 配点の高い事例問題の解き方
公認心理師試験では、事例問題の配点が高くなっています。事例問題を正解することで合格に近づきます。これらの問題を解く際のポイントは以下の通りです。
- 問題文を丁寧に読む(クライアントの状況や背景を正確に把握する)
- 心理学的視点で考える(単なる知識ではなく、実践的な対応を意識する)
- 選択肢の根拠を明確にする(どの選択肢が最も適切か、理由を考える)
4. 効果的な学習法
試験対策には、インプットとアウトプットのバランスが重要です。以下の方法を取り入れると、より効果的に学習できます。
- 要点をまとめる(自分なりのまとめノートや授業プリントを活用)
- 模擬試験や模擬問題を解く(本番と同じ条件で取り組むことが大切)
- 先生やグループで対話して考える(先生や受験生と話すことで自身の理解が深まります)
(過去問引用:公認心理師試験研修センター https://www.jccpp.or.jp/Top.cgi )
【公認心理師】新田 猪三彦(にった いさひこ)
2007年より心理学や脳科学の講座を行い、医歯薬専門予備校で受験に必要なメンタルの強化法、保育士会調査研究委員会において「保育士・保護者のコミュニケーション講座」、市民と協働によるまちづくり提案事業、産学官包括連携事業などを行っている。
九州朝日放送運営のマイベストプロ福岡でコラムの執筆にも携わり、一人でも多くの人が心が豊かに生活できるように情報を発信している。
また、部活動のメンタルトレーニング、学校を中退した学生の受験・学習支援、受験を見守る保護者の相談、資格試験合格のためのモチベーション管理、タイプ別による学習法のアドバイスなども行っている。
<略歴>
公認心理師 /ふくおか成年後見センターさくら / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / PMD医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 文部科学省所管生涯学習開発財団(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー
・LINEトークCAREカウンセラー
・メンタルゼミ